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by luchino001
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個人美術館のススメ 2 (後編)

 前編で書いたように、河井寛次郎記念館は単に彼の作品を並べただけの記念館ではない。
 本人が設計・建築をし、亡くなるまで生活した自宅を開陳したものである。
 
 京の町並みに溶け込んでひっそりと佇むこの記念館は、外から見れば普通の町屋建築にしか見えない。
 寛次郎は民家建築を範としてこの家を設計したそうだが、確かに見てみると、京の町屋と飛騨高山の古い屋敷を掛け合わせたような住居になっている。
 その家の柱や梁、床などの肌と触れ合う部分は、長年に渡って使われていたため、人の垢や脂分が付着して、深い飴色の光沢がでている。
 それは、黒蜜のような艶であり、芸術家とその家族が暮らした息づかいそのものが封じ込められたものだ。

 この記念館を奥へと進んでいくと、やや大きめの中庭に出られる。
 そこには寛次郎の作品である丸い石(作品名は忘れた)が置かれており、そこを通り過ぎて再び家に入るのだが、それから先は寛次郎のアトリエと窯になる。
 アトリエには囲炉裏が置かれていて、ここは創作だけでなく、くつろぐのにも最高の場所だと思う。
 雨の日に、囲炉裏の火にあたりながら、水に濡れて光る中庭の石や植物を眺め、雨音に耳を傾ける、そんな情景がふと頭に浮かんだ。

 そして、さらに進むと、数々の作品が焼かれた、かの有名な鐘渓窯を目にすることになる。
 何メートルにも窯が連なっていて想像以上に大きく、威容を誇っている。
 何だか家を守る御神体のように見えてしまった。

 河井寛次郎記念館はこんな感じの建物である。
 町屋建築に興味があるのなら、是非訪れることをお勧めする。
 もちろん、彼の作品の陶器や木彫りは必見だが、それらだけに限らず、家具や書、キセルなど、あらゆるものが寛次郎の手によるものであり、驚嘆させられる。
 もちろん寛次郎デザインの椅子に座ることもできる。
 彼は自分が作り上げた作品に囲まれ、そしてそれらを使用して生活するという、芸術家として最高に贅沢な暮らしを送っていた。
 

 芸術家の作品と共に、住居と製作現場まで覗くことが出来るこの記念館は、ある意味、美術館として理想的な形式だといってもいい。
 河井寛次郎の作家魂は、今でもここに息づいている。

関連 河合寛次郎記念館 ホームページ
    小人閑居日記 GWシリーズ: 河井寛次郎記念館
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by luchino001 | 2005-04-14 01:19 | 建築