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by luchino001
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チェーザレ・ボルジア

 あまりに感動したのでマンガを一つ紹介します。

 『チェーザレ 破壊の創造者』 惣領冬実 講談社
チェーザレ破壊の創造者 1 (1)






チェーザレ破壊の創造者 2 (2)






 ルネッサンス時代の英雄チェーザレ・ボルジアの生涯を描いた伝記モノ。
 チェーザレ・ボルジアはいわゆる夭折の天才で、その才能と冷酷さによりマキャヴェッリから理想の君主像として取り上げられた人物である。
 日本でいう織田信長のような存在だろうか。
 
 作品についてだが、まず、本の装丁が美しい。
 帯が付いていなければ一見しても漫画とは思えない。
 そして絵は、意図的に動きや速度をあまり感じさせない描き方で描かれ、いかにも絵画的な感じである。
 明暗の感覚が絶妙で、夜では蝋燭の仄かな明かりに照らされたかのような様子を思わせる建物内部の繊細な闇に感心してしまった。
 もはやこれは谷崎潤一郎並(嘘)。
 建築空間の豊かさは形よりも光や陰影と深い関係があるのだが、どうやらこの人はそれが分かっているらしい。
 少し脱線するが、日本の時代劇にいまいちリアリティを感じられないのは、照明が明るすぎるからだと思う。
 庇と縁側、障子によって室内に入る光の量をコントロールされた日本の家屋があんなに明るいわけが無いのだ。
 
 そして作品中に描かれた建築に注目!
 外観、内部共緻密に書き込まれており、建築史を学んだ人間が見ても勉強になる。
 インテリアの装飾の書き込みは半端じゃない。
 時代考証も徹底されていて、その時代の服装・生活様式・文化・社会事情が詳細に描かれており、ルネッサンス世界が完璧に作り上げられている。
 ミケランジェロの『最後の審判』『天地創造』が描かれていない頃のシスティーナ礼拝堂の天井には星が描かれていたのはちょっとした驚きだった。

 ストーリーは無論面白くないはずがない。 
 狂言回しの役回りのアンジェロが読者と世界観を共有させる手法は上手い。
 チェーザレは勿論だが、彼に影の如く付き従うミゲルの何と魅力的なことか。
 ミゲルがユダヤ人という設定も面白い。
 ドロドロの妹や弟との関係もどう描かれていくのか楽しみだ。
 あぁ、新刊が待ち遠しい。 

 氏がこの作品に掛けた時間と労力と情熱がいかに凄まじいかが伝わってくる。
 気迫とプライドがこれでもかと注ぎ込まれた渾身の作品です。
 単行本の価格が780円でも、刊行ペースが遅くても、文句は一切なし。
 大人が読むべき本物といって間違いないでしょう。

 関連 惣領冬実ホームページ
     wikipedia チェーザレ・ボルジア
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by luchino001 | 2006-11-05 02:18 | 音楽・本・映画