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だらだらと書いてます。


by luchino001
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静寂なる世界

 昨日、何となく車で琵琶湖を一周してみた。
 地図でしか見たことのない人は知らないと思うが、琵琶湖はとんでもなく大きい。
 対岸が見えなくて海と間違える人がいるほどである。
 一周するのに5~6時間ほど時間をかけなくてはならず、琵琶湖の南側はいかにも関西の雰囲気なのだが、北側は北陸の空気感を濃厚に感じさせ、文化圏をもまたがっている。
 なのでちょっとした旅行気分が味わえてしまう。

 海津大崎から菅浦にかけての琵琶湖最北端の地域は、 リアス式海岸のように山と湖が複雑に絡み合った地形となっていて、映画のロケ地に使われないのが不思議なほど美しい場所である。
 でもロケ地になんてなって欲しくない。
 今後もずっと知られないままであって欲しい。
 あんなに美しいところが観光客でごった返すと思うと、ぞっとする。

 その琵琶湖の最北地へ着いたのは、午後4時半頃だった。
 傾いた陽の光が湖面に面した山々を照らしている。
 入り組んだ地形のため、みずうみの波は殆ど立たない。
 鏡のような湖面には、黒い山、水面から突き出た木々、夕暮れのグラデーションのかかった空が映し出され、辺りの静けさをいっそう際立たせている。
 時々、水鳥の羽音や木々の葉が触れ合う音は聞こえてくるが、それらはかえって静寂感をよりいっそう強めているように思えた。
 僕はしばらくそこに立っていたのだが、その無音状態が無性に心地よい。
 あの静けさは日常の生活ではまず体験できない。
 絶対的な静寂とでもいうのだろうか。
 単に音がないだけではないのだ。
 静けさと共に、山と空とみずうみの景色も静寂そのものでなければ、あの感覚は体味わえない。
 意味不明なことを書いているが、そうとしか思えないのである。

 自然の景色を見て圧倒されたことは何度かあっても、心の奥までとらわれたのは初めてかもしれない。
 あの静寂なる世界に身を置いていると、心の中が空っぽというか、何も考えずただ景色を自分の中に映し込む器になってしまったような感覚になった。
 それはもしかすると瞑想に近い感覚かもしれない。

 お金では買えない、贅沢な時間を送ってしまった。
 いつになるか分からんけど、今度訪れるときは近くの民宿で一泊して、名産の鴨料理と鮒寿司も堪能したいなあ。
by luchino001 | 2005-11-01 00:34 | 京都・滋賀